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メモ帳

大学受験 英語編

初めに

 別記事で述べたように、役割を間違えなければ、どの教材を使っても効果は大して変わらない。中見出し・小見出しが「役割」に相当する。この記事で挙げる具体的な参考書は、役割を満たすもののうち最も適していると考えるものである。

 各参考書に、出版社による紹介ページのリンクを貼ってある。

 ほぼすべての大学の入試において、英語は得点源なので、この記事を見た全受験生は「これぐらいは不可欠だよね」という認識を持つべきだ。

 下部構造(語彙・文法・解釈)の出来が上部構造(長文・作文・リスニング)の限界を決める。つまり、語彙・文法・解釈を正確かつ迅速にアウトプットできることが長文・作文・リスニングで得点を伸ばす足がかりなのである。よって、まず下部構造を固め、そののちに上部構造を構築していく、という順序になる。

 学生の多くは英文の速読ができずに困るのだが、その論理的な対処方法を知らない。上述のとおり、長文は下部構造の上に成り立つものであり、下部構造がぐらつくと速読はできない。そのうえで、早く読むためには、現代文の読解とも共通する「情報構造の認識」が頭の中で高速でできることが必要である。英語の成績の向上には、現代文の成績の向上が関わっているといえよう。

下部構造

単語(適当冊数:2~5)

 1冊1か月、1日100語。「夜覚えて、寝て、朝復習」することで、たった1周でも定着する。

 適当冊数を2~5としたのは、「単語帳は5冊やれ」というあの講師の言葉に触発されてのことであるが、「中学復習」「高校標準」の2冊は必須として、「難単語」の各参考書は、英語を武器にしたい受験生だけがやればよい。*1

中学英語復習(1)

www.zkai.co.jp

 例文を中心に中学英単語・文法を復習できる。「英単語」とあるが、熟語(句動詞)の収録もあり、ダウンロード音声もありで、中学英語の総復習に適した1冊。

高校英語標準(1)

www.sundaibunko.jp

 膨大なデータに基づく単語とその用法のリストアップによって、高効率の英単語学習が約束される。ミニマルフレーズを暗記の基本単位としたことで、使用者が使い方を間違えないように設計されている。単語レベルが他の標準レベルの単語帳より高く、ジャンル別単語も扱っており、一部の単語には、より深い理解を促す文が補されている。

高校英語難(0~2)

 やり得です。時間がある人は是非に。

 www.zkai.co.jp

 難関大受験には欠かせない単語が収録されている。専門性の低い(=どの長文にも出現しうる)単語で構成されており、難単語の参考書の中でも、対象となる受験生は多かろう。

 

 books.kenkyusha.co.jp

 最新テーマ別に関連単語を集めた単語帳で、そのテーマの知識も得られる。

知識整理(0~1)

www.daiwashobo.co.jp

 「いかに単語を覚えないで済ませるか」をポリシーとする本書は、「単語帳五冊」のポリシーの真逆にあるといえる。ゆえに、難単語の参考書を買うのは、まず『とみ単』を書店で立ち読みしてみてからにしたい(なお、大型書店にしか置いていない)。

 富田の参考書に共通するのは、強いメッセージ性をもった前書き、他に類を見ない解説の詳しさ、そして「講義を見た人ならわかる、浮かび上がってくる富田らしさ」である。

youtu.be

youtu.be

 1章は英単語への向き合い方、2章は語法の多い基本単語、3章は類義語でまとめられている。載っている単語は基本動詞が多いが、復習のつもりで(今まで知らなかったことに出会うことは確実だが)やるように。

熟語(1)

www.sundaibunko.jp

 収録数の多さ、前置詞・副詞による体系的なまとめで覚えやすい。

文法(3)

総合英語(1)

 辞書的な使い方ができるものならば何でもよい。不明な点があればすぐ開くという習慣をつけて、英強になろう。

 総合英語は英文法の学習に必須である。なぜならば、網羅系参考書(ネクステなど)は解説が荒く、また体系的な理解が難しいからである。考えてみれば、それらの参考書は、総合英語より少ないページ数で、問題も掲載したうえで解説するわけで、解説が総合英語より荒くなるのは必然である。また、各問題を同様に扱うわけで、知識の連鎖関係を把握しにくくなる。

www.shinko-keirinbunkenweb.shop

 例文を中心に文法の解説を展開する。総合英語に珍しく例文集が付録される、英作文のコツが随時挟まれる、「バランスのとれた英文を書くために」という章があるなど、英作文に力を入れていることがわかる。「Q&A」「cross over」「plus α」など、多彩なコラムがある。

講義系(1)

 教科書や学校の授業で代用できる。よってほとんどの人が必要ない役割の参考書。こんなところで時間をかけてられないので、採用する参考書は、薄いもの1冊である。

www.toshin.com

 とても有名になってしまった参考書。簡潔に、さらっと通せるので、1か月で2周ほど回して、英文法の全体像をつかむ。

網羅系(1)

 前項で総合英語の必須性を論じたが、反対に、総合英語だけでは英文法学習はできない。なぜならば、総合英語は問題量が少ないため、問題演習による現状の定量化、すなわち英文法を理解し、暗記しているかを確かめられないからだ。

 文法問題単体での出題がない大学を志望する人は後述1冊目を、出題がある大学を志望する人は2冊目を採用する。

www.kadokawa.co.jp

 各文法項目を講義し、その後他書に比べ詳しい解説の補された文法問題を収録。国公立志望者に適した参考書。およそ3周して完成させる。『ポラリス3』(292題)は1(375題)・2(415題)より問題数が少ない代わりに収録問題が難しくなっており、より良書と言いやすい。

youtu.be

 

www.kawai-publishing.jp

 問題数はトップクラス。河合出版の参考書に共通したわかりやすい解説が持ち味。

解釈(2)

 解釈の参考書は2冊1組であることが多く(竹岡とかとか西とか)、たしかに1冊完結させた参考書は物足りないと感じることが多い。

www.daiwashobo.co.jp

 「英文解釈の参考書選びで間違いたくない」という人にとって、間違いない2冊。上下巻合わせて16本の文を通して読解の原則を習得する。この2冊を完成させて、以降長文に取り組んで、原則を繰り返し適用することで自分のものにする。

上部構造

長文(3~)

 出題された文章は当然最初から最後まで読まなければならない。これは2次でも共通テストでも一緒だ。

2次対策

www.daiwashobo.co.jp

 『富田の100原』からの接続を前提としているため、その相性は群を抜いている。上下巻合わせて解説量の濃い9題と「比較的」薄い14題を扱う。

 

共通テスト対策

 開始から歴史が浅い共通テストは、その対策には予想問題(駿台文庫Z会出版など)も有効である。黄色本を使った後は、できるだけたくさんの共通テスト問題集を解いて、形式慣れしておくように。

www.kadokawa.co.jp

 いわゆる黄色本。受験英語界の大物、竹岡広信による共通テスト対策の参考書。センター・共通テストの一貫したDNAを知る著者によって選定された良問を収録。

作文(3)

www.kirihara.co.jp

 英文法の基礎の復習から始まり、和文英訳で留意すべきポイントを提示する。解説が丁寧で、英作文が苦手な人でも始めやすい。本編で解説した例文132本をまとめた別冊がついており、本編を一通り終えた後の復習として、また暗唱用として使える。

www.kirihara.co.jp

 自由英作文の型と、型を形成するための汎用性の高い表現を列挙してくれる。第1部で自由英作文において心がけることを示し、2~4部で問題演習をする。

www.kirihara.co.jp

 「初めに」に示したように、受験生たるもの、どんな問題が出されても合格点をとれる実力をつけることを目標とすべきだが、特に英作文は出題の歴史が浅いゆえか、出題形式が大幅に変わることが少なくない。本書は「最難関大へ」という表題こそつけられているが、全受験生が取り組むべき参考書である。

 

リスニング(1~)

2次対策

 2次試験でリスニング問題がある大学は数少ない。そのため、対応する参考書も、その他の分野の参考書に比べ少ない。なお、共通テストリスニング用の問題集も二次試験に活用できる。

book.alc.co.jp

 数少ない2次対策用の教材。Basic編・Super編もあるので、検討するように。

共通テスト対策

www.kadokawa.co.jp

 リーディングと同様、竹岡広信による共通テスト対策参考書。

スケジュール

 「初めに」で示したように、「下部構造、のち上部構造」の順に勉強を進める。計画の調整は個人に任せるとして、その一例を示す。(1マス1か月)

単語   文法  
   
熟語 解釈  
   
長文 作文 リスニング

 単語帳は1冊1か月。単語学習がある程度(高校標準まで)終わったところから熟語学習を始める。これは、熟語は単語の連なりであること、熟語と同義の単語も同時に覚えていくべきであることから、単語を知らないと熟語学習の効率が悪くなるからである。

 

*1:先述の講師によれば、英語の勉強が嫌いな者ほど単語帳を5冊やるべきだそうだが