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メモ帳

大学受験 数学編

数学力の定義

 「(数学力)=(知識量)×(思考の型)×(計算力)」

↔「(数学力)=0⇔(知識量)=0∨(思考の型)=0∨(計算力)=0」

 このことはほぼ自明だろう。極端な話、「sin」の意味がわからなければ(知識量)問題は解けないし、一度暗記した例題を、数値が変わった瞬間解けなくなるようでは(思考の型)問題は解けないし、どれだけ方針があっていようが、数値を合わせられなければ(計算力)点数にはならない。3つのうちどれか一つでも欠ければ、点数はとれない。

 数学の受験勉強をするにあたって知っておくと有利なのは、東京出版という出版社の存在である。

株式会社東京出版(とうきょうしゅっぱん)は、高校・中学・小学の数学の問題集・学習参考書を主に扱う出版社(出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)

 東京出版は、主にハイクラスを対象とした数学の参考書を出しており、その解説は、他社と一風変わっている。東京出版からは、東京大・京都大の数学の過去問集(それぞれ50年分、51年分)が出ているので、過去問を買う際には青本その他と比較するように。

ts-webstore.net

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知識量

 網羅系参考書(チャート・FG・NALなど)の例題を完成させる。時間がない場合、基礎問と標問で代用してもよいが、「網羅性は落ちること」「基礎問・標問でもそれなりの時間はかかること」を覚悟しておく。網羅系は1シリーズ完成させたら十分なので、集中して取り組むように。

www.chart.co.jp

 例題を完成させるだけで、並の難度の問題に苦労することはなくなる。Exercisesと総合演習は比較的難度が高く、特に総合演習は、思考の型をインプットしてから戻ってきて解くのもアリ。

 1冊につき1か月あれば例題を2周はできるから、2、ないし3か月で知識量のベースは作れる。

 後述する思考の型をインプットした後は、ハイクラスな問題集(以下に示す)の演習によって、思考の型だけでは太刀打ちできない問題の解法を個別的に暗記していく。

www.chart.co.jp

 『青チャート』と『重問』には対応表が存在することから、数研出版は『青チャート』→『重問』の接続を想定しているといえる。

 やってみるとわかるが、網羅系の例題と実際の入試問題は少し異なる。実際の入試問題のほうが一手間かかることがほとんどである。そこで、さまざまな大学の、さまざまな難度の過去問を取り扱っている本書で、網羅系で学んだ解法を入試問題に適用する練習をできる。

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思考の型

 数学、あるいは大学入試に限らず、「思考力を養う学習をしよう」というスローガンはいたるところで使いまわされているが、ここには大きな問題点がある。それは、「思考力を養うために、どんな勉強をすればよいのか」という具体的な指示を、大人たちがしない(できない)ことである。考えてみれば、「思考力」などという高度に抽象的な概念を、数多いる(それゆえ質はピンキリである)教諭たちが理解し、さらに自分以外の誰かに教えてくれるなんて、どうして期待できようか(反語)。

 思考の型とは、頻出問題への対抗策に体系をあたえることで、誘導がない問題(シンプル問題)を、「ひらめき」に頼らず、すなわちシステマティックに、誰にでも解けるようにする技術である。特に一橋や京都のようなシンプル問題を出題する大学の受験生に必須だが、この記事にも示したように、全受験生が身につけなければならないものでもある。

 思考の型をインプットするにあたって、知識量のベースないとその効率は悪くなるので、この段階は網羅系を終わらせてからになる。

 思考の型のための参考書は「横割り本」とよばれることが多い。

www.yell-books.com

 横割り本の大家。「数強の頭の中を可視化した」といわれる、設問タイプ別に方針を短文でまとめた参考書。

君の数学力を東大理3・京大医学部・大阪大医学部レベルに導くための究極の指南書。志望校の数学で高得点が取れる本。(引用:エール出版社のホームページ ── 東京都千代田区神田小川町2-12信愛ビル402 03-3291-0306 (yell-books.com)

とあるが、(例題の難度はともかく)実は、多くの受験生(数ⅢCを使わないものも含む)に有効な参考書。

 赤(総論編)から始まり、通過領域が頻出の大学(東京大ほか)志望は青(各論錬磨編)、シンプル図形問題(京都大・一橋大ほか)志望は緑(各論実践編)を使う。もちろん余裕のある者は3冊ともつかってもよい。

計算力

 『合格る計算』『計算のエチュード』などの参考書がある。「計算ミスをなくす最高の策は、計算をしないことだ」と言われるように、計算量を少なくする方法論を学べるのだが、結局は実際に計算をして、学んだ方法を磨かなければ、計算力は伸びない。

 そもそも計算力の伸長は小・中学生のうちにほとんどを終わらせておくべきであり、それを受験生になってから伸ばそうというならば、相当の忍耐が必要であることは理解に難くないだろう。以下に、私なりの計算力の伸ばし方(要忍耐)を示す。

字を丁寧に書く

 書いた字が読めないという問題にぶち当たったとき、書くときに気を付けるだけでは根本的な解決にならない。根本的な解決のためには、「書き方を変える」必要がある。具体的には、アルファベットの筆記体とかベクトルの「縦か横か」や「やじるしか太字か」などである。

スペーシング力を上げる

 計算スペース、図スペース、そして論述スペースというように問題用紙の空白部分を使い分ける能力をスペーシング力という。分野によって(微積分は計算スペースが多い、整数は論述スペースが多いなど)各スペースの割当量が変わるので、問題演習を通じて自分なりの答えを見つけること。

スケジュール

知識量(網羅系) 計算力
思考の型
知識量(ハイクラス問題集)

 網羅系を完成させてベースを作って、思考の型をインプットする。その後ハイクラスな問題集を思考の型の実験台として、また個別の解法の暗記のために使う。

 これらのすべての段階において問題演習はつきものであるから、そのたびに計算力の養成を図られる。

参考文献

youtu.be

www.youtube.com

youtu.be

 

大学受験 英語編

初めに

 別記事で述べたように、役割を間違えなければ、どの教材を使っても効果は大して変わらない。中見出し・小見出しが「役割」に相当する。この記事で挙げる具体的な参考書は、役割を満たすもののうち最も適していると考えるものである。

 各参考書に、出版社による紹介ページのリンクを貼ってある。

 ほぼすべての大学の入試において、英語は得点源なので、この記事を見た全受験生は「これぐらいは不可欠だよね」という認識を持つべきだ。

 下部構造(語彙・文法・解釈)の出来が上部構造(長文・作文・リスニング)の限界を決める。つまり、語彙・文法・解釈を正確かつ迅速にアウトプットできることが長文・作文・リスニングで得点を伸ばす足がかりなのである。よって、まず下部構造を固め、そののちに上部構造を構築していく、という順序になる。

下部構造

単語(適当冊数:2~5)

 1冊に1か月以上かけないように、1日100語を目安に。「夜覚えて、寝て、朝復習」することで、たった1周でも定着する。

 適当冊数を2~5としたのは、「単語帳は5冊やれ」というあの講師の言葉に触発されてのことであるが、「中学復習」「高校標準」の2冊は必須として、「難単語」の各参考書は、英語を武器にしたい受験生だけがやればよい。*1

中学英語復習(1)

www.zkai.co.jp

 例文を中心に中学英単語・文法を復習できる。「英単語」とあるが、熟語(句動詞)の収録もあり、ダウンロード音声もありで、中学英語の総復習に適した1冊。

高校英語標準(1)

www.sundaibunko.jp

 美しさでいえば、『速単必修編』を採用したかったが、『シス単』の性能にはあらがえなかった。『速単必修編』の長所は「関連語の扱いの広さ」で、『シス単』の長所は「ミニマルフレーズに現れる、語法の扱いの広さ」であるが、効率の良い学習には後者のほうが重要であると考えたため、『シス単』を採用した。

 他を圧倒する膨大なデータに基づく単語とその用法のリストアップによって、高効率の英単語学習が約束される。単語レベルが他の標準レベルの単語帳より少し高く、ジャンル別単語も扱っており、一部の単語には、より深い理解を促す短文が補されている。

高校英語難(0~2)

 やり得です。時間がある人は是非に。

 www.zkai.co.jp

 難関大受験には欠かせない単語が収録されている。専門性の低い(=どの長文にも出現しうる)単語で構成されており、難単語の参考書の中でも、対象となる受験生は多かろう。

 books.kenkyusha.co.jp

 最新テーマ別に関連単語を集めた単語帳で、そのテーマの知識も得られる。

知識整理(0~1)

www.daiwashobo.co.jp

 「いかに単語を覚えないで済ませるか」をポリシーとする本書は、「単語帳五冊」のポリシーの真逆にあるといえる。ゆえに、難単語の参考書を買うのは、まず『とみ単』を書店で立ち読みしてみてからにしたい(なお、大型書店にしか置いていない)。

 富田の参考書に共通するのは、強いメッセージ性をもった前書き、他に類を見ない解説の詳しさ、そして「講義を見ないと伝わらない、富田らしさ」である。

youtu.be

youtu.be

 1章は英単語への向き合い方、2章は語法の多い基本単語、3章は類義語でまとめられている。

熟語(1)

www.sundaibunko.jp

 収録数の多さ、前置詞・副詞によるまとめ。

文法(2~3)

総合英語(1)

 辞書的な使い方ができるものならば何でもよい。不明な点があればすぐ開くという習慣をつけて、英強になろう。

 総合英語は英文法の学習に必須である。なぜならば、問題演習系参考書(ネクステなど)は解説が荒く、また体系的な理解が難しいからである。考えてみれば、それらの参考書は、総合英語より少ないページ数で、問題も掲載したうえで解説するわけで、解説が総合英語より荒くなるのは必然である。また、各問題を同様に扱うわけで、知識の連鎖関係を把握しにくくなる。

www.shinko-keirinbunkenweb.shop

 例文を中心に文法の解説を展開する。総合英語に珍しく例文集が付録される、英作文のコツが随時挟まれる、「バランスのとれた英文を書くために」という章があるなど、英作文に力を入れていることがわかる。「Q&A」「cross over」「plus α」など、多彩なコラムがある。

講義系(1)

 前項で総合英語の必須性を論じたが、反対に、総合英語だけでは英文法学習はできない。なぜならば、総合英語は問題量が少ないため、問題演習による現状の定量化、すなわち英文法を理解し、暗記しているかを確かめられないからだ。

www.kadokawa.co.jp

 講義と問題演習を両立した本書は、英文法学習の1冊目に最適。

問題演習系(0~1)

 4択その他の文法問題が頻出の大学以外不要である(英文法ポラリスと長文演習だけで十分だから)。

www.kawai-publishing.jp

 英頻に代わる文法・語法問題集。網羅度はトップクラス。私大志望生必携の1冊。

解釈(2)

 解釈の参考書は2冊1組であることが多く(竹岡とかとか西とか)、たしかに1冊完結させた参考書は物足りないと感じることが多い。

www.daiwashobo.co.jp

 「英文解釈の参考書選びで間違いたくない」という人にとって、間違いない2冊。上下巻合わせて16本の文を通して読解の原則を習得する。この2冊を完成させて、以降長文に取り組んで、原則を繰り返し適用することで自分のものにしよう。

上部構造

長文(2~)

www.daiwashobo.co.jp

 『富田の100原』からの接続を前提としているため、その相性は群を抜いている。上下巻合わせて解説量の「比較的」濃い9題と「比較的」薄い14題を扱う。

 あえて示すことはしないが、共通テスト対策を怠ることはないように。過去問は少ないが、予想問題が有用なので、特有の出題傾向に慣れるために活用するように。

作文(3)

www.kirihara.co.jp

 英文法の基礎の復習から始まり、和文英訳で留意すべきポイントを提示する。解説が丁寧で、英作文が苦手な人でも始めやすい。本編で解説した例文132本をまとめた別冊がついており、本編を一通り終えた後の復習として、また暗唱用として使える。

www.kirihara.co.jp

 自由英作文の型と、型を形成するための汎用性の高い表現を列挙してくれる。第1部で自由英作文において心がけることを示し、2~4部で問題演習をする。

www.kirihara.co.jp

 「初めに」に示したように、受験生たるもの、どんな問題が出されても合格点をとれる実力をつけることを目標とすべきだが、特に英作文は出題の歴史が浅いゆえか、出題形式が大幅に変わることが少なくない。本書は「最難関大へ」という表題こそつけられているが、全受験生が取り組むべき参考書である。

 

リスニング(0~)

 二次試験でリスニング問題がある大学は数少ない。そのため、対応する参考書も、その他の分野の参考書に比べ少ない。なお、共通テストリスニング用の問題集も二次試験に活用できる。

book.alc.co.jp

スケジュール

 「初めに」で示したように、「下部構造、のち上部構造」の順に勉強を進める。計画の調整は個人に任せるとして、その一例を示す。(1マス1か月)

単語   文法  
   
熟語 解釈  
   
長文 作文 リスニング

 単語帳は1冊1か月。単語学習がある程度(高校標準まで)終わったところから熟語学習を始める。これは、熟語は単語の連なりであること、熟語と同義の単語も同時に覚えていくべきであることから、単語を知らないと熟語学習の効率が悪くなるからである。

 

*1:先述の講師によれば、英語の勉強が嫌いな者ほど単語帳を5冊やるべきだそうだが

大学受験 総論編

 媚びない姿勢でやらせていただく。

どれ使っても変わらん

 参考書マニアたちには酷かもしれんが、同じ役割の参考書なら内容は大して変わらん。参考書選びで100点をとるより、参考書選びと扱い方の両方で高得点を取るのが大事。

 とはいえ、90点の参考書を使うより100点の参考書を使ったほうが良いのは確かだし、参考書の役割を理解していなければ90点を取ることすらかなわない。各科目に必要な参考書については別の記事にて解説する。

演習で成績は伸びない

 成績が伸びるとは解けなかった問題が解けるようになるということであるからして、成績を伸ばすのは演習ではなく復習である。

 しかし、これは演習は無意味だということを意味しない。演習は現状の定量化である。演習は復習による吸収効率を高める効果がある。このことを理解して演習と復習のバランスを考えねばならない。

偏差値で対策を決めるな

 世間一般に、ボーダー偏差値、あるいは大学群を基準に対策を図る者は少なくないが、これは意味不明瞭である。同じくくりにある大学でも、個々で大きく異なる出題傾向をもつことは往々にしてある。ゴールから逆算して計画することが、効率の良い受験勉強であることは自明である。

傾向に頼るな

 前項の内容に反するが、傾向のみに頼った計画はかなりハイリスクである(ここでいうリスクは、振れ幅の大きさを意味する)。実力養成の段階にあっては、多種な問題に触れることを心がけたい。

 傾向は崩れるから傾向なのだ。崩れない傾向は「出題方針」という、また別のものだ(出題方針が明示されている場合、必ず確認するように)。

まとまった時間を作れ

 大学入試の問題は、高校入試に比べ1問にかかる時間が長い。また、暗記せねばならない量も多い。よって(特に演習の段階では)まとまった時間を使って(スキマ時間を活用した勉強が重要でないというわけではない)、勉強に集中できる状況を作る必要がある。

頭使え

 理解は暗記の必要条件である。理解することが効率的な暗記の第一歩である。

 先述した通り、「なぜ成績が伸びるのか」といった根本的なところに、自分なりの答えをもつことができなければ、効率の悪い勉強をすることになってしまうだろう。

 参考書の使い方は、概ねその本の冒頭にあろう指示に従えばよかろう。

1年で間に合う

 浪人前提の計画は自らの潜在能力・成長可能性を過小評価していると言わざるを得ない。1年間最善を尽くせば、ある程度の実力はつけられる。